夫が骨折した話
タイトルのまんまですが昨日夫が骨折しました。
骨折と言ってもポキンと折れたわけではなくヒビが入ったとのこと。
カナダで大怪我です。
夫はカレッジでノーザンアウトドアという授業をとっているのですが
その授業では、ユーコンでできるあらゆるスポーツやキャンプ等のアクティビティやファーストネーションの人達の儀式に参加したりと
ここでしかできない体験が盛りだくさんの授業です。
年が明けてから毎週金曜日はその授業。
帰宅後は楽しかった!というより疲れ果てているような感じでしたが、今週はスノボーとスキーという事で楽しみにしていたようです。
金曜日は私は仕事がない日なので、息子を保育園に預けここぞとばかり好きなように過ごしています。ぼーっとしたり、本を読んだり、掃除したり、絵を描いたり、物を作ったり、テレビを見たり。
この日は夫が車に乗っていったので、私は家にこもり読みかけの本を読み終え、インクマスターというタトゥーの技術を競うい合う?番組をひたすら見ていました。
そろそろ皿でも洗おうかと思った13時過ぎ
夫から着信。まだ授業は終わらないであろう、どうしたのかなと思いながら電話に出ると
「なんか怪我したんやんか」
とのこと。
色んな想像が巡り、血の気がひいて「どうしたん?」
と聞いたら
「人とぶつかった。肋骨が折れたかもしれん」
どうやって帰るか聞いたら、自力で運転して帰ると。
その日夫は、同じ授業をとっている子たちと車で乗り合わせていたので、授業が終わるのを待ってからその子たちを送り届けて帰ると。
家に車もないし、どうしようもないのでとりあえず帰宅を待つ事に。
16時を過ぎた頃夫が帰ってきました。
息子を抱っこするのは難しいから、帰宅後迎えに行って欲しいと言われたのですが、ちゃんと息子を連れて帰宅。
それはもう痛々しくて、靴も自分で脱げないほど。
状況を聞くと、
列になって、ロープを掴んでゲレンデを登っていたら、上の方にいた女の子が滑り落ちて来てぶつかったそうです。
私はてっきりスキーかスノボーをしているときに人と衝突したのかと思っていました。
「一番最初や」
と。
え?一番最初ってなに?と聞いたら
最初のゲレンデを上る段階でひとつもスキーをすることなく、女の子が降って来て怪我をして終了だったのこと。
ドンマイ過ぎる。
女の子は無事だったかを聞いたら、普通に歩いてたから大丈夫やったんちゃう?
とのこと。
まじかよ
ドンマイ過ぎる。
「最悪やな!!!!」
の他にかける言葉が見つかりません。
いや、夫は女の子を体を張って助けたってことですね。良くやったよ夫!
運転が辛かった。ハンドルを速く動かすのが大変やった。
病院は様子を見て明日行く。と言い残して、寝室に消えて行き
夕飯に起きて来たものの、その後朝まで眠り続けていました。
あまりに静かなので怪我をした事実をうっかり忘れてしまいそうなほどでした。
そして今朝。
私の休みは、金土なので今日は夫を病院に連れて行く事に。
外はしんしんと雪が降っていました。
8時頃、病院に行くならそろそろ起きる?と声をかけると「ん」と一言。
リビングで待てども待てども起きてきません。
ちらっと開いているドアからのぞくと
足を色んな方向に向けては戻し、曲げてみたり、伸ばしてみたり(これ全部めっちゃスローです)
15分ぐらいはそんな状況。
「起き上がれへんの」と聞いたら「どうやって起きたらいいかわからへん」と
「肋骨 骨折 起き上がり方」とネット検索して(便利な時代ですね)
こうやったらええらしいで!と悶える夫に説明して(軽々と言う私にきっと腹がたったでしょう)なんとかベッドから這い出す事に成功。
病院は時間がかかるかもしれないということで、息子のお弁当を持って家族三人で救急病院へ向かいました。
この日は土曜日なので一般的なクリニックは開いていません。
そもそも、日本とカナダの医療は大きく違って
日本は耳鼻科、眼科、整形外科、内科などありとあらゆる専門医があって調子が悪い場所の医者に直接行く事ができますよね。
カナダというかこちらでは違って、まずは一般的な内科のようななんでも診てもらえる医者に行ってその後必要があれば専門医に紹介状を書いてもらうという形だそうです。
その一番最初に診察してもらう医者にも2種類あって
かかりつけ医(ファミリードクター)とウォークインクリニックという誰でもいける医者です。
つまりはクリニックのドアをたたけば誰でも診てくれる訳ではなく、かかりつけ医はそのクリニックにかかっている患者しか診てくれず、ウォークインクリニックはかかりつけ医を持っていない人でも診てくれるということですね。
ファミリードクターにも賛否両論あるようで、同じ医者に診てもらうのはカルテの保存や信頼関係を築けて良いということもあれば、自分と合わない医者をファミリードクターにしてしまうこともある、ファミリードクターに診てもらうのにも予約がいっぱいでなかなか診てもらえないなどの意見もあるようです。
私たちのようにファミリードクターを持たない場合(本当は持った方が良いのかもしれませんが、ウォークインクリニックもあるのでとりあえず保留にしています)
まずはウォークインに行って、そこから専門医を紹介してもらうという形になります。
そしてそして
ホスピタルという総合病院もあり、救急や重篤な場合はこちらに直接行く事になります。
以前小さいお子さんをお持ちのお母さんと話した時、ファミリードクターに行くより手っ取り早いので結局ホスピタルに行ったという話も聞きました。
ただホスピタルは、早急に医療が必要な方から順に対応をしていくのでものすごい待ったり後回しになったりということがよくあるようです。
今回行ったのはこちらの総合病院の救急です。
土曜だったのもありますし、もう絶対レントゲン撮らないといけないので。レントゲン設備がないであろうウォークインに行く意味もないですよね。
どれだけ混んでいるかと覚悟して行ったら、なんと待っていたのは一人だけでした。
番号札を取って座って待っていたところ、待っていたのは一人なので
すぐに呼ばれました。これはすぐに終わるのでは!
まずは問診をして、お金を払って、お医者さんの診察となるようです。
5分ぐらいの問診を終え、受付にお金を払いに。
700ドルでした。
70ドルじゃないですよ700ドルですよ。
高い高いとは聞いていたけどおったまげですよね。
これはいったい何代?
700ドル?
夫は留学生保険に入っているので、保険で下りるはずですが一旦自己負担。
ちなみにこちらではワークビザや長期滞在できるビザを持っていればどこ出身でもヘルスカードがもらえて、医療費はただです。
が、留学生は対象にならないのか、留学前に自分で保険に入る事が義務づけられています。
そして、診察室に呼ばれるのを待ちます。
わりとあっさり名前を呼ばれて
これは思ったより早く帰れそうだな。と思ったのが間違い。
待てども待てども
夫は帰ってきません。
続々と新しい患者がやってきて問診に行き、診察室に行き、そして帰っていくにも関わらず夫は一向に戻ってきません。
いえ、正しくは夫だけではありません。
レントゲンが必要そうな腕を吊ったり、足を引きずっているような人は揃って戻ってきません。
息子にお弁当を食べさせたり
待合室を歩き回ったり
トイレに行ったり
外のバスを眺めたり
待合室の壁に備え付けのおもちゃで遊んだり
いよいよ間が持たなくなって、自販機でジュースを買って息子に与えると、
狂ったようにジュースを飲んでいた息子が
「パパ!」と!
誰でも彼でも男の人を見つけては、パパと言うので
どうせ嘘だろうと思って見るとそこには夫の姿が。
パパ!!!
帰って来たのね!
2時間が経っていました。
そして終わったのかと思いきや
「まだかかるから中で一緒に待とか」
と。
まだかかるんかーーーい!
レントゲン結果を待っている状況でした。
出産前の陣痛待ちの部屋みたいな所に案内されてまたそこでひたすら待つ、待つ、待つ。
私はもう寝ちゃってましたね。椅子に座って。
息子はケータイで必死に自分の動画を見ていました。
どのくらい寝た、いや待ったのか、やっと医者が来て
「ここにヒビが入ってるよ!君が痛いと言っていたところ!見つけるのに苦労しちゃったけど見つけたよ。2週間はスキーしないでね!あ!喧嘩もだめだよ!ハッハッハ!
150ドルかかったけど保険で出ると思うよ!」
みたいなかんじでものの3分ほどで説明が終わり
処方箋をもらって
やっと終わりました。およそ3時間でした。
13時半ごろ処方箋を持って薬局へ。私と息子は食材の買い物に隣のスーパーへ。
合流した夫に薬がもらえたか聞くと「14時半やって」と。
もうなんでそんなに時間がかかるのか不思議でたまりません。
何かを配合する必要もなさそうなラムネみたいな錠剤になぜそんなに時間がかかるのか。
もうなんでもいいけど。
結局家に帰る頃には15時になっていました。
そんなこんなでカナダに来てから初めて病院にかかったのでした。
もう二度と行きたくないけど、長く住んでたらそういう訳にもいかないだろうから
良い経験ができたかな。
ちなみに肋骨骨折は自然治癒を待つしかないので、痛み止めを飲んでしのぐしか方法はないようです。
が、幾分強力な痛み止めを処方されたのか
夫は朝の3倍ほどの速さで動いています。
「痛いけどだいぶマシや」と。
といっても息子の世話はまだ出来そうにないので、わたしは明日も仕事を休ませてもらうことにしました。
自分が元気なのに、仕事を休むのって変な感覚ですね。
いいの?みたいな。
なんか猛烈に長くなってしまいましたが、
色んな事が起こるもんですね。
いつも夫に頼りに頼っている育児なので、少し大変ですが
夫の骨がくっつくまで頑張りたいと思います。